240226 久慈層群国丹層から異常巻きアンモナイト化石!

 今回は、いろいろ複合して紹介したい事があり、内容が相互に関連していて複雑になりますが、ちょっとだけご辛抱願います。


 まず、岩手県立博物館で2023年12月より開催の「ポケモン化石博物館」が、3月3日まで残すところ1週間を切りました。

主催:岩手県立博物館、国立科学博物館、(公財)岩手県文化振興事業団

 

 野田村の「久慈層群国丹層」発見、本州初の異常巻きアンモナイト「ユーボストリコセラス・ヴァルデラクサム」や、一関市「鳶が森層」発見~日本最古デボン紀・アンモナイト「コスタクリメニア」なども展示されています。この機会に本物をご確認ください。


 ポケモン化石博物館は元三笠市博物館学芸員の相場大佑さん=現在(公財)深田地質研究所研究員が博物館学芸員当時に企画したものです。ポケモン登場キャラクターと実際の古生物化石や恐竜などと比較しながら学ぶ企画展で、全国巡回中です!


 岩手県立博物館では、12月の企画展開始以来3万人以上の入館者があり(2月末で4万人以上)、人気企画となっています。平日は予約不要、土日祝祭日は見学・駐車場利用とも事前予約が必要、展示最終土日の3月2日・3日は混雑が予想されますので、お抜かりなく!

令和6年2月8日より発売!相場大佑さんの新刊「アンモナイト学入門」

誠文堂新光社 ¥2,200‐税別 随所に最新の国内外研究成果が反映されています。


「はじめに」より

「アンモナイトは三億年という非常に長期間にわたって地球上に生存し、その殻は実に様々に進化した。正確に数えるのはなかなか難しいが、これまで発見された数は一万種以上ともいわれている。現在生きているイカやタコがおよそ七百種であり、その姿や生態が多様であることを考えると、アンモナイトはそれ以上に、形ごと、種類ごと、個体ごとそれぞれの生き様があったはずである。~

~ ″ぐるぐる″ だけではない、アンモナイトのディープな世界へようこそ。」

「僕とアンモナイトの1億年冒険記」相場さんの2023年1月25日初版本 

㈱イースト・プレス ¥1,500ー税別


はじめに

「~好きなものはいろいろあったが、成人するまで『将来の夢』と言えるものはなく、つまり子供のころから古生物学者を夢見て、一直線に目指していたというわけではなかった。


 そんな僕が、どのようにして古生物学の研究者になり、アンモナイトに関するいくつかの発見をし、日本各地を巡回する展覧会『ポケモン化石博物館』を発案するに至ったのか。本書では、大学時代から話を始めて、現在までに歩んできた道のりについて、できるだけありのままに記していこうと思う。


 アンモナイトをめぐる冒険譚に、どうか最後までお付き合いいただければ幸いです。」


特別展 ポケモン化石博物館 開催案内~岩手県立博物館~3月3日まで

特別展 ポケモン化石博物館 開催案内・裏面~岩手県立博物館

北海道以外で初発見の異常巻きアンモナイト「ユーボストリコセラス・ヴァルデラクサム」の部分化石(図の左側)~岩手県立博物館展示説明図


この久慈層群国丹層(野田村)発見のユーボストリコセラス・ヴァルデラクサムについては、相場大佑(公益財団法人 深田地質研究所)・望月貴史(岩手県立博物館)連名で日本古生物学会 国際学術誌Paleontological Researchに研究論文が受理されています。


白亜紀後期・久慈層群国丹層のカンパニアン前期(約8360万~8020万年前)と目され、2014年に野田村で発見され、2018年に岩手県立博物館へ寄贈されたものです。


「ユーボストリコセラス・ヴァルデラクサム」は、2017年相場大佑さん等により、北海道三笠市、羽幌町で発見されたものが「新種」報告されています。 

日本最古のデボン紀アンモナイト「コスタクリメニア」~2020年6月岩手県立博物館だより№165表紙

一関市東山町の粘土採掘場跡(後期デボン紀鳶が森層=約3億6000万~3億8000万年前頃か)から七田清さんも発見寄贈しているようです。

2017年北海道三笠市、羽幌町発見のアンモナイト五点を新種「ユーボストリコセラス・ヴァルデラクサム」と命名!         

*図は2017三笠市立博物館プレス・リリース


大和治生氏(三笠市立博物館ボランティア会)により、2008年三笠市立博物館へ寄贈された標本五点が相場大佑(三笠市立博物館)、栗原憲一(北海道博物館)、唐沢輿希(三笠市立博物館)、大和治生連名でPaleontological Researchに受理され2017年7月1日号に掲載されています。

新種命名・報告された北海道産「ユーボストリコセラス・ヴァルデラクサム」五点

@2017三笠市立博物館プレスリリース

1904年に発見された「ユーボストリコセラス・ジャポニカム」と2017年新種命名の「ユーボストリコセラス・ヴァルデラクサム」は祖先~子孫の関係にあると考えられる。


両種には約620万年間もの空白期間があり、今後の研究でユーボストリコセラス属の進化史解明が期待される。


ユーボストリコセラス属は、日本の他、アメリカ、カナダ、マダガスカル、南アフリカ、インド、ドイツ、フランス、デンマーク、南極などから発見されている。

@2017三笠市立博物館プレスリリース

ユーボストリコセラス・ヴァルデラクサムの生態復元図

@画像提供:田近 周 氏(スイス チューリッヒ大学)


新種の学名 ユーボストリコセラス・ヴァルデラクサムは、ラテン語で「超ゆるい巻き髪(ゆるふわパーマ)のアンモナイト」の意味。


*ユーボストリコ(=太めの巻き髪)+セラス(=角~アンモナイトの学名に一般的に用いられる接尾語)+ヴァルデ(超、かなり)+ラクサム(ゆるい)


北三陸geo-history

三陸ジオパークの北部=八戸市~久慈市~宮古市を中心としたジオパーク関係情報です。