200209 早大・平山廉教授講演会~久慈市生涯学習大会

 2月9日久慈市文化会館 アンバーホールで「市民生涯学習のつどい&市民大会」が開催され、2012年より16次にわたって市内小久慈町久慈琥珀博物館近くの大沢田川支流域で、古生物化石発掘調査を継続し、多種多様な恐竜化石や古脊椎動物化石~動植物化石約2000点以上を発掘してきた早稲田大学・平山廉教授の講演が行われました。


 生涯学習のつどい参加の久慈市民およそ300人に、これまでの発掘成果を解説し、貴重な琥珀の一大産地であるばかりではなく多種多様な古生物化石の発見される地域であり、白亜紀後期久慈層群・種市層群、新生代古第三紀の野田層群など、国内でも堆積の様相が良好に保存されているエリアであることの重要性を久慈市民の皆さんに示唆していただきました。


 講演の最後には、参加者からの質問に答え、恐竜歯化石(外国産実物+レプリカ)を参加者手元に廻しながら、約9000万年前の白亜紀後期・久慈層群産出化石の多彩さ、約200種と言う古生物の多様さなど既に国内有数の化石産地となっていることを指摘いただきました。


 講演終了後は、久慈琥珀博物館さん協力の自著「最新 恐竜学」サイン会も実施しました。サイン会には、恐竜帽子をまとったお嬢ちゃんも登場し、朗らかなひと時となりました。


 平山教授は、昨日まで2日間東大駒場で開催の「日本古生物学会」発表をこなし、今朝新幹線~二戸経由で久慈入りでした。


 寒波只中の久慈ですが、無事に帰京されることを祈ります。卒論審査も抱え、ご多忙のところ講演いただき感謝申上げます!

             作画©小田隆画伯
 岩泉町小本のモシリュウは、1978年太平洋戦争後日本で初めて発見された竜脚類恐竜の大腿骨、戦前の樺太では1934年鳥脚類恐竜で頭に突起を持つヒパクロサウルスに近い「ニッポノサウルス」が発見されています。

 久慈市小久慈町大沢田川支流発掘現場のボーンベッドに堆積した火山灰年代測定により、久慈層群玉川層の当該部分は今から9,051万年前というジルコン分析結果が示されています。

 発掘された翼竜の翼の骨部分~ブラジル産「アンハングエラ」の赤い部分に該当!

 1822年「イグアノドン」を発見したのは、イギリスの医師ギデオン•マンテルの妻メアリー•アン。
 1825年マンテルは発見された歯化石が現生イグアナの歯に似ているので「イグアノドン」(=イグアナの歯)と命名~爬虫類という認識でした。

 鼻に角のある四足歩行の巨大トカゲ=爬虫類としてRichard Owen陣頭指揮で制作された復元模型。のちの研究でベルギーの古生物学者ルイ・ドローにより、鼻の角は第1指の指先、実際には二足歩行と訂正される!

 右は大英博物館初代館長Richard Owen〜初めて「Dinosauria」(=恐ろしいトカゲ)という絶滅した爬虫類の括りを提唱〜日本では明治初期に「恐竜」と邦訳される!
 左がWilliam Buckland 1824年「メガロサウルス」(=巨大なトカゲ)を論文記載!
William Bucklandが発見(1824年)命名した「メガロサウルス」の下顎齒、まだ謎の絶滅爬虫類と認識!

 2014年ロシア•シベリア南東部発見の小型鳥盤類恐竜「グリンダドロメウス」(中生代ジュラ紀中期〜後期)=繊維状の羽毛を持つ。羽毛の起源は何時か?~研究が続けられています。

*風切羽根を持つジュラ紀中期のAnchiornis huxleyi 化石!

 ジュラ紀後期・アンキロサウルス化石を電子顕微鏡観察し「メラノソーム」色素含む細胞内の小器官を確認!白黒の羽毛で赤色のトサカなど初めて全身に近い体色が再現されている。羽根軸から対称形の風切羽となり、耐空性は低いものとされる。

 肉食恐竜と植物食恐竜の卵形の違い!

 現場ではカメ類化石が数多く発見されています。

 謎の水棲爬虫類「コリストデラ類」〜白亜紀後期では「アジア初発見」です!

*神奈川県立生命の星·地球博物館 松本涼子博士による。

 系統図のどこに位置するのか?今後も研究が続きます。

 肉食恐竜の大きな歯(レプリカ)や海外の恐竜歯化石実物を持参し、皆さんに見てもらいました。この歯の大きさから頭骨の大きさを推測しつつ、全体の大きさ形などを創像してゆきます。

 2019年7月8日初版の「新説 恐竜学」(株式会社カンゼン ¥1,600別)


 恐竜の定義や恐竜研究の歴史、最新の恐竜学など解説、久慈市発見「ティラノサウルス類」恐竜歯化石なども冒頭カラーページで紹介!

 講演を聴かれた多くの方に「新説 恐竜学」を購入していただきました。

 恐竜帽を被った愛らしいお嬢ちゃん、平山教授も「ニコニコ」笑顔、サイン後は握手してお別れでした。

*ジオパークの構成要素〜大地の成立ちの歴史的経緯などが、古生物化石や地層、岩石、琥珀や琥珀にトラップされた古生物などによって次第に解明されてゆきます。


 平山教授講演会を企画開催していただきました遠藤久慈市長さま、後教育長さま、生涯学習課•文化財課のみなさま、ありがとうございました。



北三陸geo-history

三陸ジオパークの北部=八戸市~久慈市~宮古市を中心としたジオパーク関係情報です。