2月10日午後久慈市南隣り、野田村総合センターで開催された「野田村生涯学習大会」記念講演で盛岡市立高校 小野寺弘幸教諭が北海道大学 平川一臣名誉教授とともに米田海岸を調査し、約7,000年間にわたる堆積地層の中に18回ほどの津波由来堆積物を確認したことから、既知の三陸沖=日本海溝だけではなく北海道~千島列島=千島海溝由来の地震に伴う大津波にも警鐘が必要と、自ら制作した「津波堆積物地層剥取り標本」を示しながら熱心に講演されました。
聴講約60名、当北三陸ジオも黒沼事務局長、次長等5名が参加しました。
2015年3月当時宮古水産高校に籍を置き、平川名誉教授の北海道~東北太平洋沿岸の津波堆積物調査で指導を受けていた小野寺教諭は、岩手県立博物館学芸部長(当時)大石雅之先生と供に平川先生をお招きした「津波堆積物観察会」を野田村米田浜の現地で開催しました。
大石学芸部長の案内を受けて、北三陸ジオパーク推進連絡会の事務局・島川は会員および野田村観光協会の「津波語り部」に呼び掛け、3月20日の観察会を実施した経緯があります。
米田浜から港~新山地区の波を被った水田整地工事中の開削斜面でも堆積物を確認できました。米田浜の津波堆積物層序は、当初13~14層でしたが精査確認後現在の18層となったところです。
この「津波堆積物層序」は岩手県内で最も多くの堆積物が良好に保存されているエリアとされ、三陸沖=日本海溝だけではなく、北からの=千島海溝由来の津波来襲を思わせる層序もあると推察されています。したがって北からの巨大地震に伴う大津波にも警鐘を鳴らすものです。
これを受けて北三陸ジオパーク推進連絡会は、その年5月小田祐士野田村長に「津波堆積物層序」の保存要望書を提出し、現在に至っています。
出来れば天然記念物など「文化財指定」され、防災教育の一環として保存活用されれば素晴らしいことです。
小野寺教諭も「津波堆積物層序」剥取り標本を野田村に寄贈し、防災教育に活用されたいという意思を示しています。
北海道大学 平川一臣名誉教授は、かつての奥尻地震以降、北海道太平洋沿岸域の津波堆積物層序を調査し、東北太平洋沖地震・大津波以降は東北地方の日本海溝沿いの調査や日本海沿岸にも脚を延ばして調査を続けております。
昨年12月政府の地震調査研究推進本部も津波堆積物に注目し、千島海溝沿いで発生するであろう巨大地震予測の参考補強資料としているところです。
野田村において何らかの形で「津波堆積物層序」の保存活用が実現されれば幸いです。
0コメント